中学受験が注目されるわけ

中学受験というのは比較的新しい時代の言葉です。小学校を卒業した子供は学区内の公立中学へ通うのが当り前と考えられていた時代には、「中学受験」という言葉はありませんでした。現在50代や60代の方たちが子供の時代には、ほとんどの方にとって受験というのは中学校までの義務教育を終えて、高校以上の上級校へ進学する時だけに必要なものだったと思います。

中学受験というのは現在でも私立中学に進学する場合だけに必要で、公立中学に進学する時には中学受験は必要ありません。日本では中学校までは義務養育ですから、親は中学校へは全ての子供を通わせる義務があります。従って、公立中学校では中学受験の様な入学希望者を選抜する仕組みはありません。ただ最近一部の地域で試験的に設立されている公立の中高一貫校では、例外的に私立中学と同じ様に中学受験があります。

中学受験はいま中学進学適齢期の子供を持つ親から、やや過熱気味ではないかと思われるくらいに注目されています。中でも団塊ジュニアと言われる30代後半の父母が、中学受験に対する関心が高いと言われます。中学受験がこの様に注目される最大の理由は、文部科学省が推進して来た「ゆとり教育」にあります。ゆとり教育についての総合的な功罪をいま云々するのは早計かも知れませんが、「ゆとり教育」による学力低下が、子供を持つ親達に漠然とした不安を持たせた事は事実です。その裏返しがゆとり教育とは無縁の私立中学指向に繋がっています。

中学受験が過熱気味になっている背景には、日本人の世界でもまれに見る教育熱心な気質も挙げられます。この日本人の教育熱心な気質に、ゆとり教育による学力低下の不安がプラスされた結果が、今日の中学受験のヒートアップの様に思われます。ちなみに子供の教育に関してはアメリカ人も熱心で、アメリカ人は西部開拓時代、西部の荒野に新しい町を作ると、自分達の住む家よりも先に「教会」と「小学校」を作ったと言われています。

中学受験はゆとり教育の見直しが決まった現在でもやはり過熱気味です。自分の子供に少しでも早い内からレベルの高い教育を受けさせたいという親の希望が背景にある限り、私立中学志向は増える事はあっても減る事は無いと思います。従って、今後とも中学受験は小学生の子供を持つ親にとっての大きな関心事になるものと思われます。